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平成中村座桜席素描画集─通し狂言仮名手本忠臣蔵

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この本がある棚:MU design 装丁デザイナーの本棚
グラフィックデザイナー・装丁デザイナーの本棚です。
棚に並ぶ本は、すべて私がデザインを手がけたもの。商業出版の書籍と自主制作の本を一緒に並べています。
本が好きです。神保町が好きです。神保町の喫茶店で… 棚の紹介を読む
商品の説明
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発行:MU design
発行日:2026年10月9日
サイズ:A4変形サイズ(210mm × 210mm)
ページ:50ページ
表紙イラスト:うつみまゆみ
題字:萩野芽映
Book design:MU design
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2008年10月、平成中村座の桜席から『通し狂言 仮名手本忠臣蔵』を観劇した。
舞台を真横から観る「桜席」。
正面の客席からは見ることのできない、舞台袖や幕前・幕間の様子、役者の横顔や身体の動き、舞台装置や小道具、黒御簾の鳴物、さらには観客席まで。
見慣れた『仮名手本忠臣蔵』が、まるで初めて観る芝居のような、驚きに満ちた景色として目の前に現れた。

観劇の興奮が冷めないまま、帰宅後にその景色をスケッチとして描き残した。

本書は、2008年に描いたスケッチ画を、18年後の2026年にあらためて見つめ直し、コメントとともに紹介する一冊である。
当時の自分が何を見て、何を感じ、なぜそこを描いたのか。
そして現在の自分が、そのスケッチから何を発見するのか。
二つの時間を行き来しながら、桜席から見えた『仮名手本忠臣蔵』の景色をたどっていく。

描かれているのは、華やかな舞台だけではない。
役者を支える大道具や小道具、黒御簾の鳴物師、幕を扱う人々、舞台上で起きた小さな出来事、幕が降りた後の役者の姿、そして芝居を見つめる観客たち。
桜席という特殊な視点から見えた、舞台の「運用」の痕跡までを拾い上げている。

巻末には「運用痕としての素描画集」と題した付録を収録。
18年前のスケッチに残された描き間違いや記憶の混ざり、描かなかったもの、当時の観察や行動の痕跡などを手がかりに、舞台と観客のあいだに残された「何か」を探る。
歌舞伎や『仮名手本忠臣蔵』の解説書ではない。
すでに知っている芝居を、桜席という特異な場所から眺めることで、いつもの舞台がまったく違って見えてしまう。
その驚きと興奮を、2008年の「素直な目」と2026年の「再観測する目」の両方から記録した、個人的なコメンタリースケッチ集である。

【運用痕とは】
本書は〈運用痕〉シリーズ第2弾となります。
運用痕とは、人間が現実と格闘した体温の記憶。
マニュアルや決まりごとだけでは回らない現場で、人が工夫し、調整し、ときに迷いながら世界を動かした結果として、ものや仕組み、空間、身体の動きなどに意図せず残された痕跡を、本書では「運用痕」と呼びます。
それは、必ずしもエラーではありません。
改善の跡かもしれない。
誰かが現場を支えるために行った工夫の跡かもしれない。
長い年月の中で受け継がれ、変化しながら残ってきたものかもしれない。
舞台の上で役者が見せる動きだけでなく、舞台装置や小道具、鳴物、幕、舞台袖、そして幕が降りた後の人の動き。そこには、芝居を成立させるために人が積み重ねてきた、さまざまな工夫や判断の痕跡があります。
そして、運用痕を観測すると、著者の頭の中では映像が立ち上がります。
その痕跡の向こう側にいる人間を想像しながら、見えてきたものを別の形に翻訳していきます。

【著者】
著者うつみまゆみは、デザイン制作室「MU design」を運営するフリーランスデザイナー。
グラフィックデザインを本業としながら、日常の中に残された「人間が何かを動かした痕跡」を観測し、それを映像と言葉に置き換える活動を行っています。
本書の装丁も、自ら手がけています。