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夕暮れに夜明けの歌を 文学を探しにロシアに行く

¥1,680税込・送料別
商品の状態
ほぼ新品
ISBN
9784781620121
この本がある棚:All you need is BLUE LOVE
【2026/09/14】久しぶりの試みとして新品を新刊注文して仕入れました。
『アンチ・スポーツの哲学』
『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』
『切支丹の里』の3冊です。よろしくお願いします💙️
ღ .:*・゜♡゜・*:.ღ… 棚の紹介を読む
商品の説明
著: 奈倉有里

著者の奈倉有里さんが自らいわば半生を描いたといえるロシア文学エッセイです。好きなところは色々あります。外国語を多少なりとも学んだ者としてすごいなあと感じるのは、著者の場合、言葉を音から好きになることです。
たしかにロシア人にとって詩は生活に密着しているもののように思えます。以前それこそ、カラシニコフ銃の発明者の自伝を読んだときにも私は驚いたのですが、完全にエンジニア系の彼も詩を詠むのが好きだったんです。ロシア革命後、幼い頃シベリアに強制移住させられたとき、小学校で書く紙がなく白樺の皮を使っても、先生が教えて書かせるのは詩でした。


恥ずかしながら私はロシア文学をほとんど読めていませんが、読んだことがあるものにはすべて詩を暗唱する箇所が出てくるのではないかと思いますし、もともと言葉を音から愛する文化とか習慣があるのでしょう。そんな背景があるから、音に敏感な著者がロシア語に惹かれて、文学的なものが著者の人生そのものになったのも、このエッセイを読んでいて伝わってきます。言葉の魔法はレトリックの技法だけではなく、響きにもあるというところに感銘を受けました。それと時間。すでに自分のなかにある埋もれていた追憶が言葉や文学によって想起され、よみがえるタイミングを描いているのがすごい。

棚主は少しフランス語ができたので過去には仕事としても使っていました。けれども自分の場合は「いやでもフランス語を学ばなきゃいけない環境に派遣されちゃった」のがきっかけなので、フランス語そのものに対する愛着がかなり少ないです。音に対する思い入れはない。むしろ苦手。ましてや学び始めはフランス語圏の別の国だったので、完全にフランス文化への興味もない状態でした。でも、日本でフランス語の仕事をするなら文化は常識として知らないとまずいだろうと思って勉強した打算的で後付けのものです。だから著者のような言葉や文学や文化への出会いはうらやましさすら感じます。ここに書かれているエッセイの形式すべてが著者が糧にしてきたロシア文学から引っ張ってきているものだと推測しますが、感嘆の一言につきます。言葉のもつ力の深さを、言葉では伝えきれないものがあるのを説明しようとするからこそ言葉があるということを改めて知らされました。超お勧め。
なお、2000年代のサンクトペテルブルクやモスクワの雰囲気を知りたい人にもお勧めします。つい忘れられがちですが、ロシアの今の顛末をじゅうぶんに予感させるものはすでに起きていましたし、理解の助けになるのではないかと。

本書の状態はとてもいいです。付箋は貼りませんでした。本書を読み始めてすぐに「今回だけは付箋に頼りたくない」と思った。記憶を視覚的なものではなく音で感じたいと思いました。太鼓判をおしますので是非読んでください。

All you need is BLUE LOVE 棚主の松永りえより💙
All you need is BLUE LOVEの選書理由
商品の説明に書いたことがすべてです。記憶とは視覚だけではなく聴覚もしかりです。ああ…プルーストですか、もちろん嗅覚もそうですね。要は五感から何が想起されるか。そうしたものは時空を超えてもどこかに残っている。
ロシア文化に興味がある方におすすめですが、ロシアがどうしてこうなっちゃったかを知りたい方にも、ものすごくおすすめです。