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末永百合恵 の本棚

末永百合恵 の本棚

2026年09月から出店しています。
太宰治と初めましての人も
ダザイとは久しい人も

「恥の多い生涯を送って来ました…」
これからどんな物語が始まるんだろう?
はしがき数ページのあとから始まるこの最初の一行に、ひどく心掴まれたことを覚えている。
タイトルは『人間失格』

太宰治の作品自体に初めて触れたのは、小学生の時分。
国語の教科書で読んだ『走れメロス』だった。
友の為に走る。
正直、そんなテーマに共感できなかった記憶がある。(が、大人になった今読むとなかなか面白いということに気付いた話は、またどこかで…)

大学生になったある日、書店の中をうろうろと歩き回っていると、ふと何の前触れもなく、数多の棚差しの中から『人間失格』が飛び込んできた。
何故か目が止まった。
ページを開いた。
そして冒頭に書いた通り。

すぐにレジへと持っていき、家に帰り着くなり、読み始めた。
ページを繰る手が止まらない。
「これは私のことだ。なんでこの人、私のこと知ってるんだろう。どこかで見られてるみたいだ。」

そこまで強烈なシンパシーを感じたのは初めてのことで、激しい恋心にも似た衝動を抑えることができなかった。

以来、太宰治の虜となった私は、そこから貪るように太宰作品を読み進め、彼が生きた時代の紙でページを繰りたい!と初版本を集めるに至った。

『人間失格』
この作品に出会えたからには、私はこの先、きっと、きっと多分、大丈夫。
孤独が張りつめて鳴る日
人生の外側に出たくなる日
どんな日があっても
この本があれば、大丈夫。

太宰治と初めましての人も
ダザイとは久しい人も
この棚の存在が、日々に射す少しの光となる邂逅であったら、私は、これ以上に嬉しいことはないように思う。

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